商品説明：
　ツヤツヤのブラックショールの先端に、仄かなスモーキーの両錐クォーツが乗っかった、アフガニスタン産のきのこの山っぽい標本です。年季と瑞々しさの同居したような独特の風貌のクォーツ内部には、コルンバイトータンタライトが浮遊しています。

各鉱物の特徴：
＜鉄電気石 (ショール/Schorl) - NaFe²⁺₃Al₆(Si₆O₁₈)(BO₃)₃(OH)₃OH / Trigonal - ＞
　最も産出の多い電気石で、花崗岩およびそのペグマタイトや変成岩等に、明瞭な条線を伴った黒色の柱状や針状、繊維状の集合体などで産出します。柱状の両端の形状が異なる異極晶で、加熱や加圧により電気が発生することでも知られます。成分中のナトリウムが欠乏してアルミニウムが入るとフォイト電気石(Foitite)となり、鉄がマグネシウムと置き換わると苦土電気石(Dravite)になります。

＜水晶(クォーツ/Quartz) - SiO₂ / Trigonal - ＞
　肉眼で結晶の形状が確認できる石英のことを水晶といいます。実際には様々な種類や形状がありますが、透明度が高く六角柱状で三角形の錐面を持つのが一般的です。

＜コルンブ石 (コルンバイト/Columbite) - タンタル石 (タンタライト/Tantalite) / Orthorhombic＞
　コルンブ石とタンタル石は、同じ結晶構造を持つ固溶体で、ニオブの多いのがニオブ石(Niobite)とも呼ばれるコルンブ石、タンタルの多いものがタンタル石です。ニオブとタンタルの重要な資源鉱物である両者をまとめてコルタンと呼ぶこともあります。いずれも黒〜赤褐色の板状、柱状、粒状等で、花崗岩ペグマタイトや漂砂鉱床に産出し、肉眼での識別は困難ですが、タンタルが増えると比重の大きくなるのが手掛かりとなります。微量のスズやタングステン、またトリウムやウラン等の放射性元素を含むこともあり、イットリウムを含有するものはイットロコルンブ石 (Yttrocolumbite-(Y))やイットロタンタル石(Yttrotantalite-(Y)) と呼ばれる他、サマルスキー石(Samarskite-(Y) )を伴うことも多いです。
　コルンブ石という名は長年独立種として使われ、鉄の多い鉄コルンブ石(Ferrocolumbite)とマンガンのマンガンコルンブ石(Manganocolombite)とに分けられていましたが、現在はそれぞれを端成分とする固溶体の「Columbite-(Fe)-Columbite-(Mn) Series (Fe2+Nb2O6 to Mn2+Nb2O6 )」として分類する方法が採られています。
　同様に、タンタル石の名も廃止され、かつての鉄タンタル石(Ferrotantalite)とマンガンタンタル石(Manganotantalite)を一括りにする際には「Tantalite-(Fe)-Tantalite-(Mn) Series (Fe2+Ta2O6 to Mn2+Ta2O6)」として扱われます。タンタル石として見做されている標本も、分析をすると実際にはコルンブ石系か、同質異像のタピオライト(Tapiolite)系であることが多く、中でもTantalite-(Fe)は非常に稀少であるため、その多くはTapiolite-(Fe)の誤りだそうです。
　ちなみにタンタル石とコルンブ石が直方晶系であるのに対し、タピオライトは正方晶系で、同様に鉄とマンガンの固溶体(Tapiolite-(Fe)-Tapiolite-(Mn) Series)を形成します。Columbite-Tantaliteファミリーとしては、他にアンチモンを含む安コルンブ石(Stibiocolumbite)や安タンタル石(Stibiotantalite)、ビスマスの蒼鉛コルンブ石(Bismutocolumbite)、蒼鉛タンタル石(Bismutotantalite)等が挙げられます。

▲▼　ショールトルマリンに両錐の連晶クォーツが綺麗にはまった、きのこの山やシャレコウベを彷彿させる、キャラの強い標本です。

▲▼　表面は恐らくモスコバイトに浸蝕されて荒れつつも、内部はなかなかの透明度で瑞々しい輝きを放っています。

▲▼　ほんのりスモーキーがかった結晶内部には、各所に絡み合う刃の様なコルンバイトータンタライトが浮かんでいます。

▲▼　刈り上げた首筋のツヤツヤで誇らしげなショールの輝きが、どこか滑稽でいじらしくもあります。ポップなルックスとは裏腹に、秘めた個性のとても強い標本です。