商品説明：
　とぐろを巻くように連なったアンドラダイトの上を微細なカルセドニーが覆い、さらにその上に刺々しいクォーツのポイントが成長した、ホンジュラス産の非常に個性的で魅力的な標本です。

各鉱物の特徴：
＜水晶(クォーツ/Quartz) - SiO₂ / Trigonal - ＞
　肉眼で結晶の形状が確認できる石英のことを水晶といいます。実際には様々な種類や形状がありますが、透明度が高く六角柱状で三角形の錐面を持つのが一般的です。
＜灰鉄柘榴石(アンドラダイト/Andradite) - Ca₃Fe³⁺₂(SiO₄)₃ / Isometric - ＞
　カルシウムと鉄を主成分とする柘榴石(ガーネット/Garnet)の一種で、鉄分の豊富なスカルン中や蛇紋岩に斜方12面体や偏菱24面体等で産出します。褐色や暗緑色のものから緑色のデマントイド(Demantoid)や黄色のトパゾライト(Topazolite)、黒色のメラナイト(Melanite)、虹色の干渉色の見られるレインボーガーネット(Rainbow Garnet)等、色彩は多様です。同じくカルシウムを一定成分とするウグランダイト(Ugrandite)系列の灰クロム柘榴石(ウバロバイト/Uvarovite)や灰礬石榴石(グロッシュラー/Grossular)と連続固溶体の関係にあります。
＜閃亜鉛鉱 (スファレライト/Sphalerite) - ZnS / Isometric - ＞
　純粋成分の無色や白から、鉄の含有量の増加と共に、透明薄黄緑色(Cleiophane)、黄褐色、赤褐色(Ruby Blende)、黒色不透明(Marmatite)と色調が変化していく鉱物で、日本でも透明感のある黄褐色〜赤褐色のものはべっ甲亜鉛の名で親しまれています。六方晶系のウルツ鉱(Wurtzite)とは同質異像で、自形結晶が明瞭な場合のみ肉眼でも識別できます。方鉛鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱等と共に、 熱水鉱脈、黒鉱鉱床、接触交代鉱床等に産出し、結晶形態は四面体、八面体、十二面体と多様でスピネル式双晶も多く見られます。方鉛鉱(Galena)や白鉄鉱(Marcasite)等を含む褐色の層状鉱はシャーレンブレンド(Schalenblende)という鉱石名で呼ばれる他、閃亜鉛鉱の二次鉱物としては、菱亜鉛鉱（Smithsonite）、異極鉱(Hemimorphite)、水亜鉛銅鉱(Aurichalcite)などがあり、登場する機会の多い鉱物です。

▲▼　見れば見るほど奇跡的な面白い形状です。背中のゴジラ感も素晴らしいです。

▲▼　アンドラダイトをモコモコと覆うカルセドニーが、キラキラと輝いてとても綺麗です。パンキッシュなポイント群とのギャップも愛らしいです。

▲　右下のカルセドニーを剥いた跡には、スファレライトが顔を出しています。

▲▼　この辺りの水晶の造形も素晴らしいです。こちら側はカルセドニーがポイントの表面まで覆っています。ポイント内部の黒い粒はスファレライトのようです。

▲▼　ポンデリングを繋げて作ったようなこの躍動感のある立体感、そしてモコモコキラキラの上に自由に張り付くポイント群の可愛らしさもたまりません。

▲▼　左下の確認のために剥いたと思われるカルセドニーの下からは、シャープなアンドラダイトの結晶が露出しています。全体がカルセドニーに覆われてモコモコしていますが、中身はしっかり結晶しているようで、注意深く見るとカルセドニーの覆う形がアンドラダイトの結晶の形状になっているのるのもわかります。

▲▼　洞穴の中にポイントが住んでいる感じがまた何とも可愛らしいのですが、中でも上側の双子のような連晶には心奪われます。シルバーとアンドラダイトの産出で知られるくらいのマイナーな産地ですが、どこでこういった素晴らしい標本が出るかわからないのもまた標本集めの醍醐味だと思います。