Quartz, Siderite, Pyrite & Calcite
Locality: Trepča Stan Terg Mine, Trepča complex, Trepča valley,
Kosovska Mitrovica,
District of Kosovska Mitrovica, Kosovo
Size: 58mm x 30mm x 30mm
Weight: 52g
商品説明:
クリーム色のシデライトボールと、キラキラのパイライト、さらに雪のようなカルサイトをかぶった、コソボ産の特徴的なクォーツクラスターです。圧倒的な個性と可愛らしさに釘付けになります。
ローマ時代や中世から続くとも言われる長い歴史を持つこの産地では、硫化鉱物を中心に現在60をも超える種の鉱物が報告されています。鉄分の豊富な漆黒の閃亜鉛鉱(Sphalerite/Marmatite)や、様々な晶癖を成す方鉛鉱(Galena)と硫砒鉄鉱(Arsenopyrite)、また黄鉄鉱(Pyrite)のみならず時には方鉛鉱の仮晶をも見せる磁硫鉄鉱(Pyrrhotite)、方解石(Calcite)を黒く着色するタワシの様なブーランジェ鉱(Boulangerite)、クリームピンクの大きな菱面体の苦灰石(Dolomite)、そしてそれらを花飾りの様に美しいピンク色で彩る菱マンガン鉱(Rhodochrosite)の個性的な共生標本には、形容し難い独特の不思議な違和感とエキゾチックな風合いがあり、様々な組み合わせで驚かせてくれます。また球状や花弁状に集合した白〜クリーム色の菱鉄鉱(Siderite)は菱マンガン鉱との中間種と考えられ、現地では”White Rhodochrosite”としても認識されています。さらに藍鉄鉱(Vivianite)やチルドレン石(Childrenite)、ラドラム鉄鉱(Ludlamite)等の美しい燐酸塩鉱物が産するのも大きな特徴の一つです。蛍石(Fluorite)の報告こそ未だ無いものの、Dal’negorskのNikolaevskiy MineやMexicoのSanta Eulalia、中国のYaogangxian Mine等の標本がお好きな方には是非ともお薦めしたい産地です。
各鉱物の特徴:
<水晶(クォーツ/Quartz)>
肉眼で結晶の形状が確認できる石英のことを水晶といいます。実際には様々な種類や形状がありますが、透明度が高く六角柱状で三角形の錐面を持つのが一般的です。
<菱鉄鉱 (シデライト/Siderite)>
全ての堆積岩、火成岩、変成岩から広く産出する鉄の炭酸塩鉱物で、英名の語源はギリシャ語で鉄を意味する”sideros”に由来します。鉄はマグネシウムやマンガンに置換されて菱苦土石(Magnesite)や菱マンガン鉱(Rhodochrosite)と連続固溶体を形成する他、方解石(Calcite)や菱亜鉛鉱(Smithsonite)とも同じ結晶構造を持ちます。結晶はしばしば表面の湾曲する菱形六面体で、板状や柱状の他、ぶとう状、粒状、球状、塊状等で産出し、灰色や黄褐色から白色、緑色を帯びるものもあります。
<黄鉄鉱 (パイライト/Pyrite)>
稜に平行な条線が発達した六面体や八面体、五角十二面体、またその組み合わせによる淡い真鍮色の結晶が典型で、熱水性鉱脈鉱床、接触交代鉱床、黒鉱鉱床等に広く産出します。黄銅鉱(Chalcopyrite)とは黄色味が薄いことや、条痕が黒いことで識別できますが、同質異像の白鉄鉱(Marcasite)とは、明確な結晶形が出ていない限り識別が困難です。自然金とも色調が似ているため愚者の金(Fool's Gold)という俗称もあります。球顆状の集合体や薄く放射状に集合したもの(Pyrite Sun)、黄鉄鉱化アンモナイト、また国内では「武石」や「枡石」とも呼ばれる褐鉄鉱化した仮晶まで、色々なパターンで出会える面白い鉱物です。
<方解石(カルサイト/Calcite)>
最も広く産出する炭酸塩鉱物で、結晶の形は菱面体、犬牙状、六角柱状、釘頭状、板状、葉片状などと多様です。色も無色や灰白色に始まり鉄分を含んだ黄色やマンガンの入った蛍光性を持つピンク、青、緑、黒等と実に多彩です。有名な複屈折や、菱面体に割れる三方向に完全な劈開、塩酸で発泡して溶けることなどで容易に識別できます。
▲▼ 個性的で可愛らしいデコレーションに身を包んだ家族連れの標本です。
▲▼ 羽根を付けた着ぐるみをかぶったような可愛らしい後姿がたまりません。
▲▼ 横からの姿もどことなくコミカルで微笑ましいです。
▲▼ シデライトボールのサクサク感に、色とりどりに煌く微小なパイライトの色彩感、そしてクォーツポイントの頭上に乗ったキュービックパイライトの重厚感、またさらにその組み合わせの違和感のどれもが非常に魅力的です。
▲▼ 全体を覆う毛皮のようなカルサイトと、背中の羽根のようなカルサイトのいずれもが、素晴らしい仕事をしています。
▲▼ 何だか皆頭が重そうに見えてきます。愛嬌とオリジナリティ溢れる素晴らしい標本ですが、この組み合わせは現在こちらで最後の在庫となります。また会えることを祈っています。